委員会通信
虐待対応委員会通信-NO.16-
-目次-
1.日本高齢者虐待防止学会(第22回静岡大会)への参加報告
2.当委員会主催による虐待対応に関する研修の振り返り
3.特集 若年層に広がる市販薬のオーバードーズ
4.コラム
リーガルサポート東京支部・虐待対応委員会です。
今回は、9月12日に開催された日本高齢者虐待防止学会(静岡大会)への参加報告の予告号と10月6日に主催した虐待対応に関する研修の振り返り号として、今年度第4号(通信NO.16)の虐待対応委員会通信をお送りいたします。
1.日本高齢者虐待防止学会(第22回静岡大会)参加報告【予告】
9月12日に静岡県立大学小鹿キャンパスにて一般社団法人日本高齢者虐待防止学会主催の「第22回日本高齢者虐待防止学会静岡大会」(https://japea.jp/taikai_22/)が開催されました。当委員会委員も現地またはZoom配信にて研究発表を聴講しました。
今回の静岡大会の大会長が、成年後見センター・リーガルサポート静岡支部顧問の西川浩之先生であったことから、大会長挨拶では、成年後見人等に就任してからの司法書士の視点によるお話しや、経済的虐待に着目した講演もありました。
静岡大会に参加した各プログラムの報告については次号にてご報告させていただきます。
2.当委員会主催による虐待対応に関する研修会開催の振り返り
10月6日、AP市ヶ谷にて、虐待対応に関する研修会を開催しました。
講師に岸恵美子先生(東京医療保健大学教授)を迎え、「セルフネグレクトの実態とその支援~なぜゴミ屋敷はうまれるのか?~」と題し、セルフネグレクトとその支援方法につき、経験談や後見人に求められること等のご講義をいただきました。
当日は、リアルタイム配信を含め全国から278名の会員が受講しました。
「セルフネグレクト(自己放任)」とは、高齢者虐待防止法上の虐待とはされていませんが、「虐待に準じて対応」するとされています。法律上の定義ではありませんが「健康、生命および社会生活の維持に必要な個人衛生、住環境の衛生もしくは整備、または健康活動を放任・放棄していること」と位置付けられています。
本研修では、ゴミ屋敷状態をセルフネグレクト(住環境の衛生面等の放任・放棄)の一類型として捉え、どうすればそのような環境を回復していくことができるのか、ということを講義していただきました。そのなかで強く印象に残ったのは、ゴミ屋敷になってしまう原因として、「片付かないタイプ(ゴミと認識)」、「ためこみタイプ(ゴミと認識していない)」及び「その双方タイプ」に分かれるが、先ずは、どのタイプかを見極めること、そして否定や責めることはせず片付かないまたはためこんでしまう理由を一緒に考えながら信頼関係を構築し、そのあとにゴミ屋敷であることの不利益を少しずつ一緒に考えることが大切であるということです。拙速に解決策を見出そうとすると余計に拒否反応をおこすことになってしまい、状態は余計悪くなってしまうことになりかねません。
本研修は、「LSシステムeラーニング研修」としてLSシステム上に掲載される予定ですので、今回受講できなかった会員の皆さまにも是非ご覧いただきたいと思います。
3.特集 若年層に広がる市販薬のオーバードーズ
忙しかった一日の疲れを癒そうと久しぶりにTVをつけ缶ビール片手にとあるニュース番組をボーと見ていたところに、この特集が目に入ってきました。近年、市販薬の販売規制が強化される背景には、社会問題化しているオーバードーズ(OD、過剰摂取)があり、特に若年女性に多いということでした。
薬物依存症の主たる薬物は10年前では、危険ドラッグが半数で、市販薬の割合はありませんでしたが、2024年では7割以上が市販薬と激増しています(下図参照)。ODは薬を本来の用途ではなく、感覚や気持ちを変化させるため大量に服用することを言います。
コロナ禍を契機に急性中毒や依存患者が急増した原因、すなわち乱用開始の背景には、約4割が家族関係、約3割が友人関係を挙げており、学校や仕事上のトラブル関係等も見受けられます。そして、SNSが乱用に関する主な情報源となっていること、市販薬がドラッグストアなどで簡単に入手できることにも原因がありました。そのため、令和8年5月1日から指定成分を含むせき止めや風邪薬などが販売規制の対象となっており、薬局等の薬剤師・登録販売者に、乱用に対する知識を深め、適切な対応を行うことにより、乱用を防止し、乱用に苦しむ方を救う「ゲートキーパー」としての役割を担うようになっています。

一見、司法書士の業務とは程遠い報道では?と思われるかもしれません。なぜ、若年層のODが気になったのか。その理由は、高校生や中学生にも広がっていることへの驚きもありましたが、近年、成年後見センター・リーガルサポートでも未成年後見業務を担っていることから、未成年者のODについての認識も必要な問題であると思ったからです。また、認知症高齢者を在宅で介護する親族によるODの問題もあります。
若年層に拡大していった背景とは少し異なりますが、介護をしている親族が認知症高齢者の認知機能や病気について、薬を飲めば治ると思い込み、過剰に服薬をさせてしまうことがありますが、身体的虐待になる可能性が大いにあります。その点からも、ODについて、成年・未成年後見業務に携わるリーガルサポートの会員としておおいに関係があると思い、一考していただきたく特集した次第です。
最後にODに関する厚生労働省のHPのリンクを貼っておきますので、是非、一読してもらえたらと思います。
一般用医薬品の乱用(オーバードーズ)について (一般の方へ)|厚生労働省
4.コラム
昨年、日本高齢者虐待防止学会の高知大会へ参加した。高知は、明治維新に奔走した坂本龍馬等の志士を輩出した地である。
そして、今年は、江戸開幕した徳川家康をご祭神としておまつりする全国東照宮の創祀である久遠山東照宮のある静岡で開催されたことは、歴史好きな自分にとっては徳川始末に参加するような気持ちとなった。
これを機会に、雨が続く日々に徳川始末の書籍を読んでみようかと考えたが、老眼の進んだ目には酷であり、いまだ読むにいたってはいない。(委員M.T)